「淡き祈りよ天に届け」中編

2010/03/11(Thu) 23:59 Category: 小説
「淡き祈りよ天に届け」中編
「となり、いいかな」
 待合室で一服つけていたエストリアを見下ろすような格好で、足首まであるカソックに身を包んだアムゼイ神父が言った。
「べつにいいよ」
 このカビくさい革張りのソファはあたしの私物じゃないし。
 エストリアはマルボロの紫煙を吐き出すと、そっとソファの端のほうに身を寄せた。アムゼイ神父がとなりに腰かけると、埃の溜まったソファがギシリと音を立てる。
「ギャアアアアアアアア!」
 扉の向こうの診察室からは、絶えず悲鳴が響いていた。
 開拓者の村…この村はそう呼ばれている。
 村には病院など存在せず、あるのは年老いた医者が営む診療所が一軒だった。診療所には老いた医者のほかに看護婦…というか助手が一人だけいたが、それも一昨日、凶暴化した患者に消火器で殴られて死んでしまった。
 いまのところ、この狭くて汚い診療所に運び込まれた患者を押さえつけるのは、村の男たちが数人がかりで協力しておこなっていた。
「まったく、ひどいもんだ」
 まるで他人事のようにアムゼイ神父はそうつぶやくと、ポケットからセブンスターを取り出して火をつけた。
 それはエストリアの嫌いな煙草の銘柄の筆頭だった。だが、それは個人的な趣向の最たるものだった。煙草の趣味で人間性が測れるなら苦労はない。もっとも、世の中にはアルコールの趣向で他人を判断する人種もいるそうだが。
 バーボン党は紳士、スコッチ愛好家は偽善者のくそったれ、アイリッシュ・ウィスキーを飲むのは、アイルランド人、なんだそうだ。その理屈でいくと、エストリアはカナダ系移民の血を引く、アメリカ生まれ、アメリカ育ちの、アイルランド人ということになる。たいしたジョークだ。
「それで」アムゼイ神父は口から煙をもうもうと立たせながら言った。「あんたが、派遣されてきたエージェント?」
「そうだよ」
「シスターとはね。もっとましなカバーはなかったのかね?」
「…これ、一応、本職なんだけどね」
「そりゃ、失礼」
 相変わらず悲鳴がこだまするなか、風邪をこじらせた老婆が一人、ゴホゴホと咳を漏らした。
 最初のうちは好奇心旺盛な野次馬がこぞって診療所に押し寄せたものだが、次第に同じ病状の患者が増えていくにつれ、やがて興味を失い見向きもしなくなった。あるいは、治療の手伝いをさせられるのにうんざりしたのか。
「アアアアアアッ、ウワアアアアアア!」
 エストリアは吸いさしの煙草から新しい煙草に火を移したところで、さっきからひどく咳をしている老婆に行為を見咎められ、肩をすくめて二本の煙草を握りつぶした。
 全米を席巻する禁煙ブームも、この村までは届いていない。
 禁煙者、嫌煙家がいないわけじゃない。ただ、この村には受動喫煙による肺癌罹患率がどうの、という理屈で他者を抑圧しようとする利口な人間がいないだけだ。とはいえ、迷惑行為には変わりない。
「オオオオオ、オオ、オオオオッ!」
 しかしエストリアの譲歩も空しく、老婆はしかめ面をしたまま立ち上がると、診療所から出て行ってしまった。それはもうしばらく今の診察が終わりそうにないと悟ったからか、それとも依然として煙草を吸い続けるアムゼイ神父に嫌気が差したからかもしれない。
「アアアウアウアアアウアアアア!」
「くそ、静かにしろ!」
「じたばたするな、本当に死んでしまうぞ」
「さて」診察室からの止まない悲鳴をBGM代わりに、アムゼイ神父が言った。「なにから話したものかな」
「目下の状況を」
「最初に被害者が出たのは二ヶ月前だ。症状は、そうだな…突然気がふれたように叫んだり、腕を振り回したり、とにかく当初は誰も事態をまともに、というか深刻に考えようとはしなかった。なにしろ医者に診せたほうがいいという意見が最初に出たのは、三人目の被害者が出たあとのことだったからな」
「それまでは被害者をどう扱っていたんだ?」
「部屋に閉じ込めたらしい、鍵をかけて。それで最初の被害者は部屋の中で全身をかきむしってくたばった…失礼、天に召されたそうだ。原因がなんらかのウィルスに感染したせいだと判明するまで、私も何人かの被害者に清めの儀式をやったくらいでね」
「その言い方からすると、効き目はなかったんだな?」
「いや、あった。多少は。だからいま、こうして君がここにいる」

 純粋な自己犠牲、などというものは、果たして有り得るのだろうか?
 それは、エストリアが教会に拾われるより随分と前から抱き続けてきた疑問だった。
 一人きりで生きるのでない限り、人間はセルフイメージというものをなによりも大切にする。早い話が、「他人に自分を良く見られたい」というのが何事においても主な原動力になっているのではないだろうかと。
 自己犠牲ですら、多くの場合はその範疇に入るのではないかとエストリアは考えてきた。
 セルフイメージのためなら命を投げ出すことも厭わない、というのは、人間としては別段珍しくもない行動原理だ。土壇場で逃げ出すのは死よりも屈辱的だと感じる者もいるだろうし、たぶん、他人から見た自分ほど、自分自身から見た自分がましに思えることはそうないからじゃないだろうか。
 それゆえに、エストリアは奇跡の存在を…純粋な自己犠牲というものの存在を追い求めずにはいられないのだ。それも、できることなら自分自身がそれを遂行できる身でありたい、と。
「お嬢さん、見かけん顔だね」
 不意に、エストリアは畑を耕していた男に声をかけられた。
 浅黒い肌をした筋肉質の男は、肩にかけていたタオルで額の汗を拭うと、いったん鍬を置いてエストリアに向き直った。歳は三十代も後半だろう、まるで生まれついた日から農具を扱ってきたような風貌だった。
 診療所から出てきたばかりのエストリアは、自分の背丈ほどもある、布に包まれた十字架の持ち手を変えて言った。
「シスター・マチルダの後任です」
「ああ、あの皺くちゃ婆さんの後釜か。遠くの街から来るとは聞いていたが、まさかこんな若い娘さんだとはなあ。どうだ、うちの息子のところに嫁に来んか」
「いや、聖職者...

「淡き祈りよ天に届け」前編

2010/02/19(Fri) 20:36 Category: 小説
「淡き祈りよ天に届け」前編
「こらエストリアさんっ!友達を殴ってはいけないと、あれほど言ってあるでしょう!?」
「うるせーくそばばー」

 …エストリアは、問題児だった。
 無遠慮に雨が降りそそぐ日に、「縛られし槍十字教会」の運営する孤児院の前で腕を組みながら地面にぺたりと座っていた少女。
 家出だったのか、捨てられたのか、メスナー神父は未だにエストリアの出自を知らないままでいる。また、エストリア自身も自らの過去を語ろうとはしなかった。たとえ誰かに訊ねられようと、訊ねられまいと。
 警察に届け出を出す傍らで、メスナー神父は一時的に…少なくとも当時は、そのつもりで…エストリアを併設された学校に通わせることにした。
 思えば、それが苦労のはじまりだった。
 とはいえ主に苦労したのはメスナー神父ではなく、教育係のマグノリア女史だったのだが。
 授業は真面目に聞かない。他の子供たちと上手く馴染めない。なにか衝突があると、すぐに暴力に訴える。おまけに大人に対する敬意というものが微塵もない。
 一方の警察でも、身元不明の少女の身辺調査などというヒマな仕事に熱心になるはずもなく、結局エストリアの身柄は教会が預かることになってしまったのだった。
「まーったく、なんなんでしょうあの態度。子供は天使だなんて言いますけど、あれは悪魔の化身かなにかにしか見えませんわ。メスナー神父もそう思うでしょう?」
 ほぼ毎日のように苦情を言いに来るマグノリア女史を適当にやり過ごしながら、しかしメスナー神父はエストリアがただの問題児ではないことを知っていた。
 なにに対しても無気力だと思われたエストリアが唯一熱心に取り組んでいたもの、それは神への信仰だった。
 メスナー神父はエストリアの様子をそれとなく観察しているうち、彼女が常に神への祈りを欠かさずにいること、暇があれば聖書に目を通していることに気がついた。
 これは後で当人に聞いて知ったのだが、エストリアは孤児院に入ってから間もなくして聖書の内容をすべて暗唱できるようになったらしい。それも、孤児院に入る前は聖書など目にしたこともなかったというのだから驚きだ。
 しかしエストリアの敬虔深さを知っているのはメスナー神父だけだった。それだけ普段、エストリアはそういう素振りを一切まわりに見せないのだ。
「なぜです?」
 一度、メスナー神父はエストリアに問うたことがある。
 当時まだ、エストリアは八歳かそこいらだったはずだ。彼女は子供離れした冷たい瞳で、淡々とメスナー神父に語って聞かせた。
「神父さま、信仰の形は人それぞれです。みんなは誰からもわかるように祈りを捧げます。まるでみんなに知って欲しいかのように、自分は信心深い人間であると証明するかのように。彼らは…」
 エストリアはそこで一旦言葉を切るとため息をついた。顔を上げた次の瞬間、その瞳に強い意志の光が宿っていることにメスナー神父は気づく。
 じっとメスナー神父を見つめながら、エストリアが言葉を続けた。
「彼らは、自分のために祈ってるんじゃあないんですか?神様のためじゃなく?」
「そう、かも、しれませんね」
「恐れを以って主に仕えよ…詩篇にある一説です。みんなは恐れているんです。なにを?主を?なぜ?自らの卑しさゆえに、ではないんですか?しかし主はすべてを見抜いているのであれば、彼らの祈りにいったいどんな意味が、価値があるというのでしょう?」
「祈りに無闇な価値や意味を求めてはいけません」
 メスナー神父は、一方的にまくし立てるエストリアに対してぴしゃりと言いつけた。
 ハッとして顔を上げるエストリアに、メスナー神父は静かに諭しかける。
「胸の内はどうあれ…皆は、信仰という形を通して一つの意志になろうとしているのです。そのこと自体を否定する気は、もちろんエストリアさん、あなたにはないでしょう?」
「…スイマセン」
 申し訳なさそうに頭を下げるエストリア。
 メスナー神父はその場で屈むと、すっかり気落ちしてしまったエストリアの頭をくしゃくしゃと撫でる。
 なぜか、そう、なぜだかエストリアはメスナー神父だけには心を許している節がある。それはメスナー神父が常に自分を気にかけてくれていると知っているからなのか、それとも単にメスナー神父がエストリアを単純な色眼鏡で見ていない唯一の人物であることに気がついているのかは、知る由もなかったが。
 別れ際のエストリアの言葉を、メスナー神父はいまでもよく憶えている。
「あたしはみんなのために、神様に祈りたいんです。あたしは、主を恐れています。そもそも誰かのために祈るということが、主の意思に反しているんじゃないかと思うと…でも、それがあたしの信仰の形なんです。他のみんなとは違う、信仰の形なんです。それを他の人が知る必要は、ないんです。あたしと、神様が知っていれば、それだけで充分なんです」
 そんなエストリアも、十二歳を過ぎて不良グループの仲間に入ると、メスナー神父とは疎遠になってしまった。
 学校には行かず、ところかまわず煙草を吸いまくり、日中はバイクを乗り回し、さらに小遣い稼ぎのために犯罪行為に手を貸すようになってからは、ほとんど教会にも戻らなくなっていた。
 それをメスナー神父が心配しなかったと言えば嘘になるが、同時に自分が口出しをできる範疇ではないことも、メスナー神父は理解していた。
 エストリアは信仰を失ってしまったのか?
 それとも不良仲間に混じって行動することも、彼女なりの信仰の過程なのだろうか?
 二度と再会することなく、このままエストリアは典型的な犯罪者の道を歩んでいってしまうのだろうか?
 ところがメスナー神父の予想を裏切り、エストリアはあっさりと教会に戻ってきた。エストリアが十六歳になったときのことだった。
 周囲から聞いた話によると、麻薬密売の縄張り争いがこじれてエストリアの仲間の一人が惨殺されたせいだというのが理由らしかった。
「あたしゃ、あんたたちなんか嫌いだよ。大嫌いだよ。なんてったって、あんたたちが息子を死なせたようなもの...

あけましておめd(ry

2010/02/01(Mon) 15:46 Category: イラスト
あけましておめd(ry
 いまさら新年の挨拶とか馬鹿なの死ぬの?ていうか前回更新からどんだけ経ってると(ry
 まあ、いろいろ話したいことや言い訳なんかもありますがぬんどくさいので省略。いろいろあったんだ。あったんじゃい。投稿作品が二次予選で落ちたとか。落ちたんじゃい。スト起こしたりとか。起こしたんじゃい。絶賛継続中なんじゃい。一人で。働け。㌧
 まあそんなこんなでみんな元気ですか健康ですか。最近、創作系ザの人(←勝手なカテゴライズ)もめっきり数が少なくなって、歴史の砂地の遥か奥深くセメタリーに埋められて久しいというかゴメン俺けっこう疲れてる。

 イラストは2046年のアメリカ北西部に位置する犯罪都市ロウライト・シティ(自分の創作物の舞台として頻繁に登場する架空都市)にて、武器密売組織を壊滅させるべく捜査をする刑事2人組。ちなみにこの都市は2010年に一度壊滅状態に陥ったため治安は最悪だったりする。イラスト中の「BLAZE」は仮題。
 手前の男の名前はラズロ、ニューオリンズの片田舎からリニアに乗って転勤してきた矢先に携帯電話型のレーザー銃を持った子供に襲撃されるという運の無さを発揮する。口癖は「やっぱり都会は違うな~」。やや世間ズレしているが銃の腕はピカ一で、正義感が強い。
 奥のは元潜入捜査官のサイボーグ、名前はテスラ。人工声帯から発せられる声と口調からは想像できないが女である。潜入捜査官時代に爆発事故に巻き込まれ、一度は引退したものの自身をサイボーグ化し出戻ってきた。銃の腕はサイボーグ級(生身の人間とは別次元)で、性格はかなりドライ。
 銃火器に関して。今回のはいずれもオリジナルで、ラズロが持っているのは口径9ミリの多弾数ガバメント(コンシールド・キャリーガン)。装弾数は12発。トリガーガードとグリップが独自の形状をしているんだけど、グリップは描ききらなかったなあ…
 テスラの銃はリボルバー式のレーザー銃。薬莢に高圧縮エネルギーが充填されていて、銃声も閃光も反動もなく、弾道もストレートで貫通性能が高い武器。火薬式と比較すると性能は一長一短で、おまけに銃そのものや弾代、メンテナンス費用がやたらにかかる。

 さて、バイト休んでる間に短編の一つや二つでも書きたいなあ。
所詮は人間の作ったルールです
「わかるかい、今度のことでおれにわかったのは、おれは自分がほかの誰よりいい人間だって心底信じてたってことだ。自分は倫理的にすぐれた人間だってね。宇宙は自分が感じること、信じてることで一つになってるって。ボブ・ハイタワーには何が正しいかよくわかってるって。それに対する批判は全部…そう、それはただの批判でしかないっておれは信じてた」

 …以上の文は、ボストン・テランの手による小説「神は銃弾(原題:God Is A Bullet)」の中での、主人公の独白だ。私の人生観を変えた言葉でもある。
 正義…と言ってしまえば陳腐だが、「正しいこと」を追求するのは人として当然の姿だと思うし、そうすることで正しい人間になろうという心情は素晴らしいものだと思う。しかし、「自分こそが正義」と思い込み(大抵の場合、その根拠は薄弱だ)、一方的にその「自分勝手な正義」を押し付けようとするのは迷惑以外の何物でもない。
 正負や善悪なんていうのは人間がただ思いついただけの観念に過ぎないし、相対的なものだ。そこに「絶対」はない。相容れない場合もあるだろうが、「違う価値観を持った相手を認める」って行為はけっこう大切なのではないだろうか。
 某所のゴタゴタを見て、ふとそんなことを思った。詳しくは書かないけども。



 イラストは現在製作中の小説「キャノンエンジェル(シャドウラン4版ベース。2070年の第六世界で、ニューヨークを交差するランナーが主役の話)」の主人公二人。
 左がオーク(元人間、ゴブリナイゼーションによって変化してしまった)のストリート・サムライ。名前はオリジン(露骨だなあ。元ネタわかる人いるだろうか)。サイバーウェアとバイオウェアのハイブリッドで、戦闘能力は高いものの社交能力は皆無。
 右がエルフ(ヒューマン風外見の資質を取得)で、フェイスの透間彩(とうま・あや)。交渉能力に長け、右手の人差し指にモノフィラメント・ウィップを仕込んでいる。アデプトでもなんでもないが、ランナーだからといって100人に1人の逸材がポンポン登場するのもリアリティに欠けると思ったので。リプレイではないので、シリアスにパラメータを詰める必要もないかなと。
 あと今回は描きませんでしたが、他にもドワーフのハッカーであるファット・ジョージ、超破壊的な攻撃呪文を操れるものの実生活ではファット・ジョージに身の回りのすべての世話(介護、といったほうがいいかもしれない)を受けている謎の少女ズィーロットの2人が仲間として存在します。
 ・・・正直なところ、ズィーロットのビジュアルが思い浮かばないんですよね。「これまで自分が描かなかったようなキャラ」がデザインコンセプトなんですが、絶賛難航中。いっそ誰かデザインしてくれないかしら。

企画中のポケモン小説の概説

2009/12/06(Sun) 02:53 Category: 小説
企画中のポケモン小説の概説
  「生き延びろ」レッドアラート編
 第四次世界大戦後の世界。ある日、主人公シュンスケの所属するタマムシシティのジムがロケット団の襲撃を受け、シュンスケ以外の仲間が皆殺しにされてしまう。一人だけ生き残ったという事実によりシュンスケは街の住民から迫害を受け、旅に出ることを決意する。
 同時期に、数々のテロ行為の首謀者である凶悪ポケモン・ミュウツーが脱獄し、ロケット団と結託して政府関連の施設を次々と襲撃していた。偶然現場に居合わせたシュンスケはミュウツーの攻撃により瀕死の重傷を負ってしまう。

  「世界を救え。手段は問わない」グリーンライト編
 肉体のサイボーグ化による延命と引き換えに、シュンスケは「ゼクター9」と呼ばれる政府所属の特務機関のエージェントになった。ロケット団やポケモン崇拝団体と戦う機関の最終目標は、ミュウツーを抹殺すること。
 新たにコードネーム「ライトニング」と名づけられたシュンスケは、相棒レディとともに数々の機密作戦に従事する。しかしシュンスケは任務に隠された意図を探るうちに、政府の姿勢に疑問を感じるようになる。

  「選択のとき」ブルーシフト編
 半年間姿を消していたシュンスケは、独力で謎の解明に迫ろうと決意した。すべての組織を敵に回したシュンスケは、やがてミュウツーの出生の秘密を知ることになる。
 そして最強の敵を目の前にしたとき、シュンスケとミュウツーは…



  主要登場人物

  シュンスケ
 16歳、タマムシシティ出身のポケモントレーナー。ロケット団のジム襲撃により友人と幼馴染を失うも、いわれのない中傷を受けて止むなく街を出る。使用ポケモンはパラスとストライク、後にゼクター9に所属してからはピカチュウが相棒になる。大人しい性格で、感情を表に出すことは滅多にないが根は多感な少年。

  ミュウツー
 政府関連施設を連続で襲撃し、ロケット団とともに数々の破壊活動を行う凶悪ポケモン。指名手配されており、一時はCPCT(対ポケモン犯罪処理班)により捕らえられるもののすぐに脱走。他のすべてのポケモンを凌駕する強力なサイキック能力を保持している。その行動には何らかの理念が感じられ、そのうえ人間そのものを憎んでいるふしがある。

  レディ
 19歳、ゼクター9のベテラン工作員。正式名レディ・バイパー。全身にオーグ(戦闘用サイボーグ)化手術が施されており、基本的な能力がシュンスケを凌駕しているだけでなく、反応力強化や強化反射神経などを駆使することによって、通常の人間が知覚できないスピードで動くことができる。数年前に恋人を原因不明の奇病で失っており、そのせいかシュンスケに心を開こうとしない。

  ストライク
 シュンスケの無二の相棒。シュンスケと直接戦った末に捕獲されたという経緯から、シュンスケに対する忠誠は並外れている。素早い動きと一撃必殺の居合いを信条としており、どんな困難からもシュンスケを守るという使命感に燃えている。

  ピカチュウ
 ゼクター9によってオーグ化された工作用ポケモン。すべての人間はポケモンに劣るという考えを持っており、シュンスケのことも見下している。しかし任務達成にかけるプライドは高く、そのためならシュンスケへの協力を惜しまないばかりか、身を犠牲にすることも厭わない。皮肉屋で高慢だが、有言実行を基本理念とする職人気質の持ち主。

  ジョンソン
 ゼクター9の所長。特定のジムに所属しないフリーのトレーナーを監視し、有能な人材をリクルートしている。権力を振るうことに快感を感じるが、名誉欲や禁欲とは無縁という変わった男。ナルシストで、自分が有能であることを誇りに思っている。ミュウツーの出生の秘密を知っているらしい。

  メタモン
 テロ集団「ポケモン崇拝団体」の秘密兵器。要人暗殺専門の工作要員で、周囲の物質に変化しながら標的に近づき暗殺するという恐ろしい手口を使う。成長過程で人間的な倫理観を無視するよう育成されたため、殺人に対する罪悪感は欠片も持ち合わせていない。

  サカキ
 表向きは世界有数の巨大財団「Rグループ」の総帥だが、裏ではマフィア組織「ロケット団」の首領である犯罪者。莫大な資金力を持ち、独自に軍事・ポケモン技術の研究を行なっている。政府やポケモン崇拝団体と敵対しており、互いの利益のためにミュウツーに手を貸している。



  世界設定

 核によって引き起こされた第三次世界大戦によって人類は壊滅的な打撃を受けたが、ポケモンの出現により徐々に文明は復興しつつあった。しかしポケモンを使用した第四次世界大戦によって世界は混迷の一途を辿り、またポケモンの数自体も激減した。
 それぞれの街は閉鎖された区域となり、隔壁の外には凶暴化したポケモンが徘徊するようになったため街の外へはポケモントレーナーしか出ることができなくなった。そしてトレーナーの資格所持には厳格な試験を通過しなければならないため、トレーナーは一種のエリート待遇を受ける。

連休とか死ねばよかったのに

2009/11/24(Tue) 12:19 Category: イラスト
連休とか死ねばよかったのに
 最近、背景を描く楽しさがちょっとわかったような気がする。
 でもやっぱり、イラストは描けても漫画を描くのは無理だな…という思いが日を追うごとに強くなってもいるわけですが。いやあ、若い頃の俺は漫画をナメてたよ。研究すれば研究するほどわけわかめ。

ポストアポカリプス

2009/11/20(Fri) 20:45 Category: イラスト
ポストアポカリプス
 2010年、ロウライトシティに血の雨が降った。
 その日を境に一部の人々が突如として凶暴化し、隣人を遅い、その肉を貪り喰った。そして喰われた人間もまた凶暴化し、人々を襲った。
 人々は凶暴化した…知能が欠如し、欲望に忠実で、常人ならば死に至る肉体の損壊を経てもなお生き続ける…者を「ゾンビ」と呼び、市当局は一般市民の手によるゾンビの殺害を合法行為と看做した。
 しかし時すでに遅く、ようやく事態の全容が掴めてきた頃にはほとんどの市民がゾンビと化していた。
 現在生き残っているのはほんの数人、それもいつゾンビに襲撃されるかはわからない。
 ロウライトシティは死者の跋扈する地獄の都市と化していた。

 警察官ケリー・フロストはパトカーでの巡回中、ゾンビ化した市民の群れに襲撃されてどうにか逃亡するも、警察署に戻ったときには同僚全員がゾンビと化していた。
 かつての同僚たちを始末したケリーは、警察署に保管されていたあらゆる銃火器…犯罪者から押収した物も含む…で武装し、この地獄の街から脱出するために行動を開始した。
 願わくば、自分以外にまだ生存者が残っていることを祈って。
 ケリー・フロスト巡査、優秀な警察官。過去に幾多の射撃大会で優勝経験あり。
 生存者の捜索と、この惨劇の真実を探るために戦いを決意する。

 留学生の北条舞が事態に気がついたのは、他の人間よりかなり遅れたタイミングでのことだった。
 話半分に聞いていたテレビのニュースが日を追う毎に深刻化し、ホームステイ先の家族がゾンビ化したとき、ようやく彼女は報道の内容が冗談ではないことを知る。
 家族を皆殺しにした舞は家に保管されていた銃火器で武装すると、生存者の間で囁かれているという噂の真偽を確かめるために惨劇の渦中へと身を投じる決意をする。
 北条舞、女子大生。アクション映画マニア、特別な訓練は受けていない。備考…この状況を楽しんでいる。
 彼女が耳にしたという風の噂とは…地獄と化したこの街で、あらゆる災厄を退けるという「約束された大地」と呼ばれる場所があるという。真偽のほどは、定かではない。

 コヨーテ…男は自らをそう名乗った。
「I Live...Again」
 共同墓地の土の下から蘇ったコヨーテは、彼と同時に復活した「生きる屍」を始末すると、まるでこの惨劇の全容を理解しているかのような態度で行動を開始した。
 コヨーテ、本名不詳、年齢不詳。超人的な身体能力を誇る。
 彼の目的はただ一つ…「連中を皆殺しにする。二度とこんな下らない遊びができないよう、地獄よりさらに奥深い暗闇に叩き込んでやる」

 この物語は、おおよそ以下のようなキーワードから成り立っている。
『ゾンビ』
『大量の武器、大量の弾丸、大量の血しぶき』
『廃棄された巨大研究施設』
『謎の新興宗教団体』
『悪魔』
『近年のホラーものは理詰めで退屈だ。オカルト分が足りない。そんな貴方へ』



 …とかいうRPGの企画を考えているんだけどたぶん作らない。システムもほとんど考えてあるんだけど、いかんせんツクールは素材作りとマップデザインがめんどくさいのだよなあ。
 イラストは主人公の一人で女子大生の北条舞。もともとはブラックアルファという特殊部隊モノの登場人物の一人だったのを流用。実はケリーとコヨーテも流用。いまさら新規でキャラ考えるのもなあというか。
 最近洗濯板しか描いてなかったので、おっぱい分を補充。私はロリコンだけど、ほんのたまに「おっぱいもいいよね…」と思うことが、ないわけでもないんだ。
 しかし古本屋の18禁コーナーってのはなかなか腹筋に悪いね。棚の上にひっそりと置いてあった「サムソン」と「薔薇族」を見つけて思わず笑いそうになるのをこらえてたら、大槍表紙の快楽天を見て「どこだ!?→地震もいいけど大槍の尻は芸術だと思う→よくねえよ!」の一連の流れが速攻で脳内再生され、とどめに原稿料一枚二千円のゴブリン先生の本を見つけて爆死した。

今年は年賀状出せないんだぜ

2009/11/16(Mon) 12:10 Category: 近況
今年は年賀状出せないんだぜ
 私が近況書くときは決まって悪いことが起きたときに限るってそういう。
 親しかった祖父が亡くなって、葬式やらなにやらで大変でした。主に精神的に。普段あれだけ刹那的なことばっか書いておきながら、やっぱり人の死は応えますね。と同時に、人の死に胸を痛めることができるだけの人間的感情が自分にあったことに対して安堵。でも涙くらいは流したかったな。
 ちょっと、ウォッチメンでロールシャッハが言った「道化師パリアッチにまつわるジョーク」を思い出しました。どんなに上手に他人を励ますことはできても、自分自身の心を救う方法を知っている人間なんていないんだよ。だからいまは、普段自分が言っているような「人はいずれ死んでしまうもの。くよくよ考えていても仕方ない」だとか、「死んでしまったら何もできない。だからこそ生きている人間は、生きているうちにしかできないことをやるしかないんだ」だのといった口上に耳を貸すような気分じゃないってことだ。
 所詮、理屈なんて「ただの言葉遊び」に過ぎない。いまはもう平静を取り戻しているけれど、落ち込んでいる気分のときに「気持ちはわかるけど、云々」などという無精者が現れなかったのは幸いだった。もしそんなことを言われたら逆上して、こう言っただろう。「自分ですら今の自分の感情に説明がつけられないのに、事情もよく知らない他人がどう理解しようっていうんだ?」と。また、それこそが人の心の正しいありかただと思う。ただの言葉遊びなんかじゃない、理屈では表せない「感情」ってものが。

 本当は湿っぽいことは書きたくなかったんだけど、どうしてもこれだけは書かなければいけないような気がしたので。人間の、人間たる所以っていうのをもう一度考えてみたいと思ったから。
 イラストは本文とは全然関係ない、メイドバージョンのリア。ひさしぶりに色を塗ったなあ。だいぶ要領を忘れてて、かなり時間がかかった。かかったんだよ、こんなのでも。目と手甲の水晶体はかなり凝った。つもり。塗ってて楽しかったし。

HEL-00 後編

2009/11/05(Thu) 03:15 Category: 小説
HEL-00 後編
 人を超える生命を造ろう。
 大量の生き血を捧げ、いま、ここに人工の生命が宿る。多くの魂を犠牲にした集大成がここに生まれようとしている。
 日の射さぬ地下都市、超古代文明レーヴンハイム。
 すべての戦争が終わり、勝ち残った王族が他のすべての人間を奴隷として使役する国家で、リアは奴隷監視用の生き人形として生まれ落ちた。
 不服従な者、抵抗する者は容赦なく抹殺する。なにせ国民皆奴隷なのだ、代わりなどそれこそ幾らでもいる。人の命に価値があるなどとは、リアは考えたことすらなかった。
 しかし、一人の青年の言葉がリアを変える。
「なぜ王族に従う?我々とともに、この国を変えよう」
 リアにとって、国を変えるだの、平和のためだの、人間の尊厳だのといったものは、興味の対象には微塵もなり得なかった。
 しかし、ただ一つ…王族に従う必要はない、という言葉はリアを感嘆させた。
 たしかにリアは王族によって造られ、王族の命令に盲従してきた。だが、そもそもリアが王族にかしずく必要性などまったくの皆無なのだった。義理だのなんだのもまた、リアにはまったく無価値なものであったからだ。
 そしてリアは王国内の反対勢力とともに王族を打倒し、造物主を抹殺した。
 英雄となったリアは、そのあまりに強大な力を民衆に恐れられ、王宮の奥深くに封印された。そしてレーヴンハイムは王族の抹殺に続く派遣争いによって自壊した。

 十六世紀、イタリア。
 研究者の老人によって発掘されたリアが起動したとき、目の前にあったのは殺された老人の死体と、血塗れた剣を持った青年の姿だった。
「オマエがワタシのパートナーか」
 封印される直前に、付与された機能。
 持ち主を裏切らぬよう、目覚めて最初に目にした者に追従するよう仕組まれた。安全措置として、パートナーの死か自らの機能停止によって記憶をクリアし再起動する機能も加えられた。
 青年の名前はアレフといった。老人は日頃の奇怪な素行から魔女と目され、連行しようとしたところを抵抗されたためその場で斬り捨てたそうだ。
 魔女狩り全盛の時代、いずれリアも魔女扱いされるのは自明の理だったが、リアに惹かれていたアレフは衛兵の職を捨て、リアとともに逃亡することを選んだ。
 追っ手の追撃をかわす二人だったが、やがてアレフが弓の傷で倒れ、他界してしまう。
 アレフの死によって自動的にそれまでの記憶が抹消され、その後最初に目にした異端尋問官に服従することを選んだリアは、そのまま誘導尋問を受けた末に火刑に処されてしまう。
 燃えかすから残った水晶の骨格は埋められ、やがてリアの存在は忘れられていった。

「総統…先日発掘した例の水晶髑髏についてですが、調査の結果、あの頭蓋骨はもともと存在した全身の骨格の一部だったことが確認されました。現在、復元を急いでいます」
 二十世紀中頃、ドイツ第三帝国。
「あなたが新しく入った隊員ね。ふうん、リアっていうんだ。人造人間?早い話がフランケンシュタインね」
 人ならざる者のみで構成された部隊で、リアは黒髪の女性に話しかけられていた。
「わたしの名前はディー、吸血鬼よ。よろしく」
「ドラキュラのディー?」
「ディードリヒの略よ。ドラキュラなんて下品な名前は使わないでほしいもんだわ、まったく」
 第二次世界大戦の水面下では、異能者のみによって組織された各国の部隊が熾烈な戦いを繰り広げていた。その中にあっては、リアの卓越した戦闘能力も霞むほどである。
 やがて連合軍がベルリンに迫ったとき、リアとディーはある物の護衛任務を任された。
「まったく、総統の新兵器好きにも困ったものだわ。もう戦争は終わろうとしているのに…」
 ディーはため息をついた。
 地下の研究施設で、研究者たちが慌ただしく動き回るなか、リアとディーはシリンダーに入った一人の男の姿をじっと見つめていた。
 ユーベル・ソルジャー計画。
 実験の最終段階に入ったとき、米軍の人狼部隊が急襲してきた。
 研究者たちの身体が紙切れのように引きちぎられ、喉笛を噛み切られたリアの頭部がゴトンと転がり落ちる。
 意識を失う直前、シリンダーを突き破って飛び出してきた男が人狼たちを次々と屠っていく姿が見えた。

「芳賀…戦う以外の生活っていうのは、どんなものなのかな」
 二十世紀末。
 傭兵会社「VA」の所有する兵器として、会社に所属する傭兵の一人である芳賀とチームを組んでいたリアは世界各地の戦場を転戦したのち、テロ組織によって襲撃されたVA社の本部内にある礼拝堂で身体の中身をぶち撒けていた。
「父は完璧なアンドロイドを造ろうとしていたんだ。感情を持つ、人間と見分けのつかない完璧な存在。人間に偽装し、人間社会に溶け込み、静かに、忠実に任務を実行する。もっとも、わたしの理想とはいささか異なる理念だがね」
 リアを蘇生させたイアン・ジェイコブ博士の研究チームが襲撃され、調整中だったリアはテロリストからVA社の手に渡った。博士はテロ組織「冥界の天使」に荷担するテロリストだった。
 その息子のマット・ジェイコブ博士が素性を隠してVA社に潜入し、リアのプログラムを改造して本部を襲撃させた。
 芳賀と対峙したとき、リアは引き金をひかなかった。
「機械も人間も関係ない。ワタシはワタシで、そのことにもっと早く気がついていれば…」
 はじめて感じる恐怖。それはアレフを失ったときの喪失感よりももっと恐ろしいものだった。
「行かないで」
 リアは芳賀の手をしっかりと握る。
「消えたくない。助けて…」

「ようやくすべてを思い出した」
 二十二世紀、アメリカ北西部。
 機械の反乱によって人間が駆逐され、残されたわずかな人間が機械の軍団に抵抗を続けている世界。再起動したリアは、白骨死体から採取されたDNAによって復元された芳賀と再会していた。
「いまの俺は、見かけや身体が俺だというだけで本当の俺じゃない」
「それはワタシも似たようなものだ」
 人間に捕獲され、機械でありながら何故か人間のために戦い続けて...

HEL-00 中編

2009/10/30(Fri) 15:09 Category: 小説
HEL-00 中編
「で、この服はなんだ?」
「メイド服だ。今度からオレ様のことはご主人様と呼んでくれたまへ」
 日は変わって、勇者屋の事務所。
 今でこそバーのマスターに落ち着いているが、かつて神父であり、またオタク文化の伝道師でもあるイトウのコスチューム・コレクションのうちの一着、それがいまリアの着ているメイド服だった。
 もっとも着せるとき、メイド服にするかセーラー服にするかという理由で、クレイドとイトウの間で血で血を洗う激闘に発展したのは、リアには知るよしもない。
「命令を、ご主人様」
「ご、ご主人様…いい響きだあ」
「朝っぱらからなぁにアホなことして喜んでんだ」
 昨夜の激闘もあって、歯を磨きながら登場したデイビスは朝から疲れた表情でつぶやいた。
 デイビスの台詞が聞こえなかったふりをして、クレイドが言う。
「それじゃあ、朝食でも作ってもらっちゃおうかなあ!」
「…朝、食?」
 うきうきした表情で放たれたクレイドの台詞に、リアが無表情のまま固まる。
「朝食…人間が、朝に摂取する、食べ物のことか?」
「そう」
「作るのか、ワタシが?」
「そう」
「不可能だ」
 なんだろう、この感覚は。
 戦闘機械であるリアに、こんな命令をした人間は後にも先にもクレイドしかいなかった。
 自分が戦闘用の機械で、それ故に人間のパートナーを必要としていること、そういった諸々のことはイトウの店で全員に説明したはずだったが…
 しかし、クレイドはなおも食い下がる。
「なぜ無理だし」
「経験がない、情報がメモリにない、そんな機能はワタシにはない」
「すこしは努力しようとは思わんのかね」
「機械が無理だと言ったら無理なのだ。無駄な努力はやめて、他の命令を考えてくれ」
「他の命令?」
「施設の警備、敵地の偵察、拠点の襲撃、目標の暗殺とかいったものをだな」
「そんなものはない…」
 平然と言い放つリアに、クレイドは額に汗をかきながら答えた。
 警備はまだしもだったが、見た目は発達途上な女の子のリアにそういったものを任せるのはどことなく気分が引けてしまうクレイドだった。
「うーむ、今日も合成食料かあ」
 この時代では、合成食品精製器という画期的な発明によって多くの家庭がボタン一つで豊富なメニューを楽しめるようになっている。
 最初から機械のメモリーに入力されているメニューの他にも、追加プログラムを購入して機械に登録すれば、それだけメニューの数も増える。中華料理一覧のメモリチップ一枚三百N¥、といった具合に。
 合成食品は加工した大豆をベースに、栄養剤、各種フレーバーなどから成り立っている。味や食感などは本物に劣るが、それでも天然素材の保管の煩雑さや一から調理する手間から開放されるというのは格別に便利なことだ。ちなみに、合成食料による人体への悪影響はまだ検証されていない。
 もっとも家庭料理という概念がなくなったわけではない。いまではすっかりさびれてしまった文化だが。
「しかしまあなんだ、料理はできなくても掃除くらいはできるだろう?」
「不可能だ」
「なぜだー(棒読み)」
「同じことを二度も言わせるつもりか」
 おそらく、やりかたを教えればできるようになるのだろうが、そもそも人間的な衣食住とは無縁のリアに家事を教えるのは至難の技のように思える。
 二人のやり取りを見ていたデイビスが、合成トーストを齧りながら言った。
「なあクレイドよ、こいつメイドスキルがゼロなんじゃあねーの?」
「どうしたの?」
 そのとき、イリアが眠い目をこすりながら出てきた。
 クレイドががっくりと肩を落として言う。
「なあ愛しのハニーよ、こいつにメシの作り方と掃除のしかた教えてやってくんねーかな」
「えー、めんどくさい。それに昨日帰ってからすぐに寝ちゃったから、ライフルの手入れしておきたいんだけど」
「それならできるぞ」
 そのリアの台詞を聞いて、三人は同時に「はーっ」というため息をついた。

「命令を、ご主人様」
 午後、けだるい昼下がり。リアは相も変わらずの能面顔でクレイドに向かって言った。
 正直どうしたもんか、とクレイドは思いながら、半ばなげやりにつぶやく。
「普通の女の子らしくしてれば?」
「なんだ、それは」
「なんだってなんだ。普通にしてればいいんだって」
「普通ってなんだ」
「普通は普通さ。いいかねリアちゃん、ここで暮らすからには戦闘以外のこともできなきゃイカンよ。女の子は女の子らしくして、大人しく俺様の目の保養になるのがいいのだよ。泣いたり笑ったりできるようにしてやんよ。そんなわけでリアちゃんには今日一日、街の観察を命ずる」
「監視任務か…偵察任務?」
「みたいなもんかね。ファーストオブジェクティヴ、街で生活している女の子を観察して、普通の女の子らしさってのを学んできなさい」
「…やってみよう」
 そう言うと、リアは事務所の扉を開けて外へ出た。

 リアが出てから、事務所の黒電話がやかましいベル音を立てはじめた。
 クレイドは無視しようかどうか一寸迷ってから、受話器を手に取る。
『もしもし、クレイドかい?』
「ああ、博士か」
 電話の声はイトウのものだった。
『じつは、伝えておきたいことがあってね。本当は昨日のうちに言っておきたかったんだけど、結局うやむやのまま別れてしまったじゃないか』
「ああ」
 うやむやになってしまったのは、リアに着せる服のセーラー服・メイド服論争のせいか。
 さらに巨乳の姉属性のイトウが子供サイズのコスプレ服を所持していたことも物議を醸し(ハロウィンのときに、未だ縁のある教会の子供たちに着せるため…らしい。ちなみに、そのときの口論でクレイドがロリコン、デイビスが巨乳の妹属性であることが露見してしまった)、わけのわからないまま解散してしまったのだった。
『失礼かとも思ったんだけど、昨日、アストラル知覚であの機械の女の子のオーラを霊視して見てみたんだ』
「なにも見えなかったろ?」
『いや、それがだね…たしかに彼女のボディのほとんどは、他の無機物同様まった...

魔法使いと銃使い

2009/10/26(Mon) 12:45 Category: イラスト
魔法使いと銃使い
 ハロウィン用のイラスト描こうと思ったらこうなった。後悔はしていない。手前の女の子は去年ハロウィンのときにカラーで…と思ったが一昨年か。そういえば最近全然カラーで描いてないな。
 この二人は以前から温めてるファンタジー系小説のキャラで、手前の魔法使いの名前がメリッサ・ローズ。ホビットのくせに魔法使いという変わり種で、ウィザードリィでこいつを作るとレベルを上げても魔法を全然覚えてくれなくて苦労する。物理攻撃が通用しない魔物に故郷を滅ぼされて魔法使いを目指したとかそんな感じで。主人公パーティの一人。
 もう一人は傭兵のスモーク。俺が描くには珍しい褐色キャラ。人間。この世界で銃の存在は珍しい。といっても勇者屋みたいな必殺兵器ではなく、威力も精度も低く装填にも時間がかかるため「武器をまともに扱えない人間が最後に行き着く選択肢」というかなり地位の低い扱いになっています。ちなみに彼女が持っている銃は実在のものです。わかる人いるかな?俺はこの辺の時期の、ハーモニカ・ピストルだとかダックスフットだとかいったゲテモノ銃が微妙に好きなのよね。
 こういうツーショットで描くと仲が良さそうとか姉妹?とか思えますが全然そんなことはなく、赤の他人なうえに仲が悪いです。敵同士じゃないんだけど、これも俺には珍しい恋敵な設定。なんで一緒に描いたかっていうと、帽子繋がり。

 最近またやりたいことが多過ぎてどれから手をつけたものやら迷う。シャドウラン小説とか、サイバーパンクなポケモン小説とか(やるならセブンさんが極悪顔のピカチュウ描いてくれるらしい。やったね!)、リアが勇者屋の世界で復活した話もまだ途中だし。ゲームも作りたいんだよなあ、RPGと、エロゲー。俺のことだから、どれか一つに絞らないとまともに企画が動かないだろうし。ううむ迷う。

 そういえば先日久しぶりにタイムクライシス4をスコア狙いでやったんですが、1P側で450万点しか取れなかったよ。近所で唯一タイクラ4が置いてある店の1P側のハイスコアが俺の560万点なんだけど、どうやってそんな点数取ったのか今となっては見当がつかん。しかもそのときはハイスコア狙いなんかでは全然なく、半年振りくらいにプレイしてたまたま取った記憶がある。
 ちなみに攻略サイトとかは見ていない。稼動初期から自前で考えた攻略法だけを使ってる。なんかね、いまさらハイスコア狙うためだけに攻略記事読むってのも悔しいんだよね。特にガンシューティング系は意地があるから。最近はハイスコア狙うの諦めて、専ら曲撃ちの開発に専念している。横撃ちは基本として、上から下に向けての撃ち下ろしとか、最近は抜き打ちとか腰だめでの射撃に凝ってる。慣れれば結構当たるもんだよ、ナムコのガンコンは精度がいいしね。
 しかしなんだ、ハイスコア狙うと特殊武器使うよりハンドガン使ったほうがいいのかねえ。マシンガンとかショットガン使うと命中率がボロボロになる。慣れればハンドガンでも超連射できるし単発の威力も高いから、タイムにもそれほど影響出ないしな。店に置いてある筐体の設定はたぶん難易度ノーマル、ライフは3。ノーミスが基本だけど、油断すると死ねる設定だね。ライフが4あればね、ノーコンティニューは100%確実なんだけど。
 備忘録として、ほぼ確実にノーコンティニューでクリアできるガンシューを書いておく。たんなる自慢とも言う。
・タイムクライシス2
・タイムクライシス3
・タイムクライシス4
・バーチャコップ3
・ゴーストスカッド(こいつは設定次第ともいえるが…一応全レベル最高で)
・サイレントヒル(ただし2挺拳銃限定で)
・トゥースパイシー(バトルモード?だっけ、あれだけ。ストーリーモードは無理)

 あと、あまり確実ではない…というか、「ノーコンティニュークリアしたことはあるけどいつもできるわけじゃないし、いまやったら多分ムリ」なゲームも挙げておく。
・ハウスオブザデッド3
・ニンジャアサルト(2挺でのプレイがアツイ)
・ザ警察官(ラスボス戦がなあ…)

 言うまでもないけど全部アーケードね。家庭用なんか知らねえよ。あとガンバレット系はどれがどれだかわからんので割愛。他にもあるかも。「あれがないよ」とか「あのゲームは無理なの?」とかいうのがあったら教えてチョンマゲ。

セラスや、起きなさい

2009/10/05(Mon) 04:15 Category: イラスト
セラスや、起きなさい
 そんなわけで今年も投稿してきました。でも最後に原稿を右上で綴じるのを間違えて左上で綴じちゃったよ。これはもう絶望的かもわからんね(規定違反はそれだけで「こいつやる気ねーな」と見做され即時ボツになる可能性高いとか。今回はクリップ留める位置間違えただけで直すのも簡単なミスなんで微妙だが…)。
 で、まあ(ショックを流しつつ)先日HELLSINGのOVAⅥ巻を買ったんですが、内容がちょっとアレだったんで視聴後即座にネガキャン文章なぞ書いてみたり。いつもならこのテの批判的文章は書くのも読むのもイヤなんで眠らせちゃうんですが、今回はあえて載せてみることにした。参考までに。

  ***

 つい先日、HELLSINGのOVAシリーズ第Ⅵ巻を購入した。今回はそのレビューを…というか、今回に限っては完全にこき下ろすつもりでいるので(普段そういうのは絶対やらないのだが)、反感を覚えそうだと思ったら素直にブラウザの「戻る」ボタンを押すことを推奨する。ちなみにこれは完全に私見であって、この意見が絶対的に正しいと表明するものではないことをあらかじめ付記しておく。こういう書き方は卑怯だと思うかもしれないが、私は身の程知らずと思われるのは嫌いだ。

 最初に言わせてもらうと、サテライトからマッドハウスに製作が変わってから、私はこのDVDシリーズに対する情熱がかなり減退していた。Ⅰ~Ⅳ巻までは熱狂的情熱でもって買い揃えたものの、製作元が変わったというⅤ巻はニコ動でチラッと観た限り微妙な出来だったので、買い控えていたのだ。Ⅵ巻を観た限りでは、その判断は正しかったように思える。
 Ⅰ~Ⅳ巻までは「クセの強い秀作」という感じだったのが、Ⅴ巻とⅥ巻は「凡作」という印象しか受けない。作画が良い、全体的なクオリティは高い、というのは認めるが、それだけだ。以下、不満に感じた点を列挙する。また、私が「サテライト社員だ」「社員乙」などといった根拠のないコメントは受けつけないものとする。なれるなら、むしろなりたいくらいだ。ソーセージ売りなぞクソ喰らえだ。
 とにかく印象に残るのが、音楽の使い方がド下手だ、ということ。Ⅳ巻までは映像と音楽が渾然一体となり、まさしく音楽が「この場面の、この尺で使われるためだけに作られたようなもの」とまで感じられる素晴らしい調和を醸し出していた。しかしⅤ巻以降は「このシーンはこんな雰囲気だから、このBGMを使っとけばいいだろう」といった感じで、適当に切り張りしている感が見え見えなのだ。使用頻度が多く、ころころと音楽が変わる。TVシリーズの悪夢の再来だ。音楽の出来がどうこう以前の話で、まるで素人仕事だとしか言い様がない。BGMがただの添え物になっており、これではどんなに作画が良くてもカタルシスなど生まれようもない。Ⅳ巻のコメンタリーにて上田Pが多作品の音楽乱用に関して指摘したことが、そのまま再現されているのはどういうことだ。
 そして、全体の間延び感。これまで巻ごとにきちんとエピソードが区切られていたのに対し、Ⅵ巻はぶった切り感があまりにも強い。まさか、このOVAシリーズで観終わってから胸にモヤモヤ感が残る巻が出てくるとは思わなかったので、残念至極だ。ただでさえ原作もロンドンが舞台になってから多少の間延び感はあったので、OVA化するにあたってはもうちょっと脚本をスマートにしても良かったと思う。純粋に「テンポが悪い」と感じるシーンも多い。このシリーズで、内容を水で希釈して寿命を延ばして欲しいと願うファンなどいないだろうから、余計なことを考えずに各部をもっとあっさり描写してもいいんじゃないか。
 ただ、声優がゆっくり喋るシーンが多いのも事実だ。これは脚本云々の話ではない。緊迫したシーンの連続なのだから、もう少し早く喋ってもらうか、台詞を削るかするべきだったろうと思う。個人的には、命がかかっている場面でこんなにのんびりだらだらと喋るわきゃあねえだろうと思うのだが。ベテラン揃いなので任せきりにしたくなる気持ちもわかるが、もう少し演技指導なりしてもバチは当たらないんじゃないかと思う。
 ギャグシーンが意外と悪印象を残したのは、私自身も意外だった。これまで私は「ギャグシーンも平野御大の魅力の一つなのだから、その辺もカットせず盛り込むべき。OVAシリーズは全体的にシリアス過ぎる」と思っていた。しかし改めてギャグシーンを積極的に盛り込んだⅥ巻を観て、私はその意見が間違っていたと改めざるを得なかった。これは漫画とアニメという媒体の違いから来る問題だろうと思う。漫画では視覚を通してから頭で内容を理解するのにワンテンポ置くので、ギャグとシリアスが交互に来ても違和感を覚えずに見れるが、絵が動いて音が鳴るアニメでそれをやられると、あまりに前後の展開が剥離し過ぎていて違和感しか感じない。そしてギャグシーンを入れたことにより前述の間延び感が助長されている。また、これまでシリアスで通していたにも関わらず、ロンドン編というさらに過酷な展開になってからギャグシーンが増えたのも問題なんだろう。なんだかんだで、サテライト版の「テンポアップのためのギャグシーン削除」という手法は正しかったように思える(それを狙ってやったわけじゃないだろうが)。
 あと、個人的な不満点を一つ。V1改の爆発シーン、あの円形爆発はいくらなんでも嘘クサ過ぎる。あそこは手書きにすべきだった。たとえ、それだけのために発売が一ヶ月延びようとも。きちんと発売日に間に合っている、というのが、逆に「ただの商業活動だからそこそこに仕上げて発売日に出せばいいじゃないか」とマッドが考えているのではないかと勝手に暗示がかって見えてしまい、勝手に私が不満がっているのは事実だ。そう感じるだけ、マッド製作版からは情熱を感じないのも確かなのだが。

 総評すると、Ⅵ巻は定価で買って後悔した、シリーズではじめての巻だ(前述のように、Ⅴ巻はまだ買っていない。ならばなぜⅥ巻を買ったのか…クロスファイアのCDドラマが欲しかったからだ。というより、Ⅴ巻の少佐のフ...

HEL-00 前編

2009/09/17(Thu) 04:45 Category: 小説
HEL-00 前編
 永遠に「死と再生」を繰り返す存在。
 彼女の存在そのものは紀元前からあったとされている。
 彼女はいくたび破壊されようと、その記憶、性格、経験などは水晶やマイクロチップなどの媒体に残されたまま地中深くに眠り、また、その媒体を何者かが発見するたびに、異なる肉体を得て蘇生を繰り返した。
 戦闘用の機械、それ以上でも以下でもない彼女にとって、人間のパートナーは不可欠な存在である。
 命令を遂行する能力にかけて彼女以上に優秀な存在はないが、行動に選択肢が発生した場合、ただの機械である彼女は自らの意志でそれを取捨選択する能力に欠けている。
 予測不可能な事態に直面した際、行動を共にする人間が選択に方向性を与えてやる必要がある…それが正しい判断であれ、誤った選択であれ。
 やがて彼女はパートナーたる人間が死亡するか、自らが破壊されることで役目を終える。
 彼女の存在そのものと言える媒体には記憶が残り続けている。
 しかし再起動する際、その記憶は封印され、まるでたったいま母親の胎内から出てきたかのように、こう呟くのだ。
「ワタシの名前はHEL・00、コードネーム…リア。オマエがワタシのパートナーか」
 そして彼女は目覚めるたび、大地に立つたび、人を殺すたび、パートナーを失うたび、自らが破壊されるたび…「懐かしい」と感じるのだ。
 昔、同じようなことを経験したような気が…こんな風景を、こんな光景を目にしたことがあるような気がする、と。
 彼女の心の中は、常に「悲しみ」で満ちている。
 理由のない、言い様のない、深い悲しみ。
 いつの時代にも彼女は存在し、彼女は何度も再生を繰り返しながら歴史を見てきた。
 そして、彼女に感情が…魂が存在することを、誰も、彼女自身すらも知らない。
 魂は誰にも見せることができない。ゆえに、存在を証明することもできない。
 誰も、彼女の魂の存在に気づくことはない。
 そのはずだった。あの日までは。

「うおおおおおおおっ!?」
 あまりに突然の出来事に、クレイドは思わず仰天してその場に引っくり返りそうになってしまった。
 とある建物の地下に存在する、何かの研究施設と思われる場所。
 その最奥には、培養液に満たされた巨大なシリンダーが幾つも陳列されていた。
「まったく、悪趣味極まりないぜ」
 デイビスがそう呟いたのは、クレイドが声を上げる数秒前のことである。
 シリンダーの中には実験体と思われる人間(と思われる物体)が収容されており、そのほとんど、いやすべてが肉体が損壊した失敗作だった。
 最初からその状態だったのか、それとも経年劣化によるものなのかは定かではない。
 目玉が飛び出し、内蔵があちこちからはみ出ているそれらを嫌々ながらも写真に収めながら、クレイドは言った。
「しゃーねぇ、目ぼしい資料だけ持ってさっさとズラかろうか」
 この研究所の成果そのものは、クレイドにとって持ち帰るにはまったく値しないものだった。
 そう、ただ一体を除いては。
 クレイドが資料を取り上げようと、最後のシリンダーの前を通りがかったとき。
 培養液がシリンダーに接続されたチューブから排出され、ガラス窓が爆発によって吹き飛ばされる。
 そして、その場で尻もちをついたクレイドの前に…「彼女」が姿を現わした。
「ワタシの名前はHEL・00、コードネーム、リア。オマエが…ワタシのパートナーか」
「何者だ、こいつ」
 モノフィラメント・ナイフを抜いたデイビスが警戒する。
 クレイドは立ち上がると、どうやら敵ではないらしいリアに向かって言った。
「どうも面倒なことになっちまったようだなァ。伴侶になりたいってなら反対はしないけど」
「アホなこと言ってる場合か」
 デイビスが呆れてため息をついたとき、不意にリアが天井を見つめて言った。
「上階から反応あり。武装した人間が複数名こちらへ向かっている」
「ヤバそう。味方が少ないと、こういうとき敵か味方かすぐわかるってのは利点だよな」
「お前…言ってて悲しくないか?」
「こう見えて友達は選ぶ主義なのよね」
 そう言うと、クレイドはコートから銃を抜いて装弾を確かめた。
 ここに辿りつくまでにかなりの弾を消費したクレイドにとって、できればこれ以上の交戦は避けたいところだった。
 そのとき、ふとリアが呟く。
「銃があるのか?」
「ああ」
「一つ貸してくれ」
 いきなりそう言われてもなあ、とクレイドは思いつつ、しばらくためらってから拳銃を一挺リアに投げ渡した。それをリアは特に焦ることもなくキャッチする。
 その銃は5・7ミリ口径のシルバーチップ弾を使用する、ちょっと特殊な代物だった。所持していたのはあくまでクレイドの趣味だったが。
 簡単に信用していいのか、銃を渡した途端に撃たれたらどうするんだ…そう考えるデイビスが苛立たしげに言う。
「ところでこいつ、何なんだ?」
「後回し。敵じゃないなら素性を勘ぐるのなんか後でいいでショ」
「これだ。ったく女と見ればアンドロイドだろうが見境ねぇもんな」
 三人は部屋を出ると、警戒しながら階段を上がっていく。
 しばらくすると、ヘルメットと防弾仕様の戦闘服で完全武装した兵士に出くわした。
 クレイドとデイビスが反応するより早く、リアが銃弾を三発、兵士の心臓に向けて瞬時に叩きこんだ。ほとんど同時に三個の薬莢が地面に落ちるのを見て、デイビスが呟く。
「おい、あの銃フルオート機構なんかくっつけたっけ?お前」
「いや~フツーにセミオートですヨ?まだそれほど手ぇ入れてないからトリガーも結構固かったと思うし」
「おっかねえ娘っ子だな、ありゃあ」
 そう言うと、デイビスは壁にもたれるようにして息絶えた兵士の身体をまさぐった。
 破裂した心臓からみるみるうちに溢れ出す血が、戦闘服を瞬く間に真紅に染めていくのが見える。
「おい、こいつ…ノヴァテクの兵隊だぜ。メガコーポの私兵がなんでこんな僻地にまで出張ってきてやがる」
「うひー、本格的にマズイな。さっさとトンズラしないと」
 しばらく...

ブラック 第一話後編

2009/09/04(Fri) 04:43 Category: 小説
ブラック 第一話後編
「十四代目、つまり俺のひいひいひい爺さんだな。そいつは物心つくまえから剣の腕が父親、つまりひいひいひいひい爺さんより上で、軍に入隊したときにはもう教官を片手でいなせるほどの剣技の達人だった。本物の英雄だったよ」
 懲りることもなくクラインが一方的に話を続けるなか、ブラック12は遠くから近づく気配に薄々感づいていた。
 数は一〇、二〇…いや、五〇はいるか?
 こそこそ隠れているということは、恐らく奇襲をかけるつもりなんだろう。たぶん、ここにいる部隊は全滅する。
 …どうしようか?
「ひいひいひい爺さんが十八歳のとき、つまりマリスキア暦六二八年にカイエル帝国北部の火山の火口からドラゴンが出現した」
 ギリギリギリ…
「ひいひいひい爺さんは百人の討伐部隊を率いて闘ったが、ひいひいひい爺さん以外は全滅しちまったんだ」
 ヒュンッ。
「だがひいひいひい爺さんは三日三晩、不眠不休の激闘を続けた末、自分自身もぼろぼろになりながらドラゴンを倒したんだ」
 サクッ。
「おい、聞いてるのか?」
「聞いてる」
 確かに、聞こえた。
 一人やられたな。弓で。
 便器にセットするべき最後の空樽をその場に置き、ブラック12は空を仰ぎ見た。
 …便所掃除なんかやってる場合じゃないぞ。いまにその必要がなくなろうとしている。
 やがて空から、凄まじい数の火矢が次々と降りそそいできた。
「うわあああああああっ!!」
 あちこちから悲鳴が聞こえてくる。隣からもだ。
 ブラック12は目の前に迫った火矢を掴むと片手でへし折り、その場に投げ捨てた。
 武器すら兵舎に置いてきている練度の低い兵を相手に、質も数も上回る部隊で奇襲か。
「大人気ないわ」
 奇襲というのは本来、数において不利な側が地形、天候、時間、あらゆるものを利用しておこなうものだ。
 それに、この大陸での戦争は未だに正面衝突型の正規戦闘が主流。ゲリラ戦術など理解を得られておらず、それが故に対処法を知る者もまた稀である。
 構築中だった基地は瞬く間に炎に包まれ、どこからか侵入したらしい敵の部隊によって仲間が次々と屠られていく。
 悲鳴、積み重なる死体、周囲を覆う炎…
「また」
 わたしが見る光景は、いつも、これだ。
 いつからだろう。
 物心ついたときには、すでに人を殺していたような気がする。
 でもこの光景は、それより遥か以前に目にしたことがあるような…
「ブラック!」
 クラインの声が聞こえる。
 わたしは短剣を持って背後から迫ってきていた敵兵の頭を両手で掴むと、それを一八〇度回転させた。広頚筋がねじ切られ、頚椎の外れるえぐい音が響く。
 皮だけで繋がった首がだらしなくぶら下がる敵兵の死体を放る。
 どうやらクラインは襲撃者相手に善戦しているようだった。他の仲間と違って帯剣していたのもあるだろうが、口先や家柄を誇れるだけの腕前は確かに持っているらしい。
 襲撃者の装備はどれも軽装、そもそも反撃を受けることなど想定していないから、機動力を損なう鎧など無意味…ということか。
 先手必勝が失敗すれば、板金鎧で身を固めた騎士を相手に正々堂々と立ち回るのは不利でしかない。腕が立つとはいえ、所詮はただの人間だ。
「くそっ、盾があればやり易いんだが、な!」
 盾を担いで便所掃除する者はいない。
 恐らくこれまでの戦いでは左手に盾を構えていたのであろうクラインは、襲撃者の死体から奪った剣を盾代わりにして戦っていた。左手の剣で相手の斬撃をいなし、右手の剣で仕留める。
「こいつは武器を持ってないぞ!」
 誰かがそう叫んだ。襲撃者の一人だろう。
 武器を持ってないやつ…ああ、わたしのことか。
 抵抗する間もなく懲罰部隊の仲間を始末したクドリヤフ帝国の遊撃兵が、次第にクラインではなくブラック12に攻撃の矛先を変えていく。

 いかん。
 どうにか不意の襲撃者の攻撃を食い止めていたクラインだったが、数が多くなるにつれ疲労が増していき、剣を振るう動きが鈍くなっていってるのが自分でもわかる。
 …どうやら、他の連中はろくに反撃すらできなかったようだな。
 五人目か六人目を斬り伏せたところで、敵の一人がブラック12を指さして叫ぶのが見える。
 まあそうだろう、鎧に身を固めた男より、軽装のまま武器も持たない女のほうが楽に殺せそうだものな。
 さっき背後から迫ってきた襲撃者の首を捻じ曲げたのには驚かされたが、どんなに体術に優れているとして、武装した軍人を相手に丸腰で戦えるものではない。そんな人間はいない。
 身を挺してでも女を守るのが騎士の本分…と言えど、いまの状況では自分の身を守るだけで精一杯だ。とてもじゃないが、ブラック12を助けに行ける余裕などない。
 何人かの襲撃者がブラック12に斬りかかった。
 ブラック12は最初の襲撃者の振り下ろした剣を左手で受け流すと、右の掌底で相手の顎を砕く。さらにその身体を引き回すと、盾代わりにして次に襲ってきた相手の剣を受け止めた。
 最初の襲撃者の手首を外して剣を奪い、襲撃者の頭部を二人同時に串刺しにする。
 パッと剣から手を離すと、背後から迫る数人の襲撃者に向き直ると同時に両手から取り出した無数の刃物を投げ放つ。
「……なに?」
 『そこでなにが起きているのか』理解したとき…争いの手が、止まった。
 誰もが一瞬我を忘れ、自らの認識を新たにせざるを得なかった。クラインであれ、クドリヤフ共和国軍の遊撃部隊であれ…
 襲撃者の身体に、頭部、心臓、動脈などの急所に的確に突き刺さった刃物を見て、クラインは思った。こいつ、どこにこんなものを、これだけの数を隠し持ってたんだ?
 耐火性の強靭な紐がグリップに巻きつけられた、忍者の使う「クナイ」にも似た刃物。
 なによりただの一兵卒、それも懲罰部隊にいるような落ちこぼれ(もちろん自分は除いて、とクラインは認識していたが)が、このような戦闘技術を持っていることに驚きを禁じ得なかった。
 その戦闘法は、並の正規軍兵が用いる剣技では有り得ない。
 まさしく殺人者...

アリステイル

2009/08/21(Fri) 02:41 Category: イラスト
アリステイル
 案外マジメに筆もいけるかも、ていうかもうこのままで行こうかと本気で考えつつあるグレアムです。
 ていうかアレですよ、そろそろ本当に真面目に文章書かないとヤバイ時期ですよ。そんなわけで9月は丸ごと休み取りました。やったね。正社員じゃこうはいかねぇ。給料もでねぇけど。まあそれでも週1は出ざるを得ないんですがネ。

 イラストは今回のネタ、「不思議の国のアリス」をモチーフに書こうと思ってる投稿用小説の主人公アリス。舞台は現代、不思議の国に偶然迷い込んでしまったアリスはなぜか二挺の銃を持っていた。みたいな。
 記憶を失っているアリスは元の世界に帰るために奔走するなか、やがて不思議の国に隠された秘密に迫っていく。なぜアリスは銃を持っているのか?アリスの過去とは?ADDシステム、イレギュラーと呼ばれる存在、やがて真実は…現実に起きた一つの事件に収束していく。みたいな。

 銃の解説。
 サブマシンガンはコブレイM11。MAC11の全長(&ボルト)を延長し、9x19mm弾仕様にしたM11の最終形。ていうか、この銃…参考にする写真によって細部が全然違うんですけど。ストラップの位置とかレバーの数とかコッキングハンドルの形状とかストックの形状&有無とか…ぐぬぬ。そんなわけで細部は私好みに組み合わせました。
 リボルバーはトーラスM30S。30カービン弾を使用する8連発の銃です。マイナーかな?いちおうガンベルトに差さってるのは30カービン弾なんですが、これって装填に補助用のクリップが必要なんだよなあ…その辺の描写はどうしよう。あえてそこまでリアルに書く必要もないっちゃないんですが。リムレス弾を装填できるリボルイバーもあるらしいですし、改造型って線もアリかも。

 ちなみに作中で二挺同時に扱うシーンは書かないつもりです、威嚇以外では。彼女はあくまで一般人なので(基礎知識はありますが)。コブレイなんかはしょっちゅう作動不良起こす感じで。そのたびにマガジン底部叩いてコッキングハンドル引いて、みたいな。リボルバーは両手保持で一撃必中。不思議の国で銃を持つのは彼女一人、っていうのが強みです。

ジャッカルじゃないんだよ

2009/08/13(Thu) 15:12 Category: イラスト
ジャッカルじゃないんだよ
 いきなり苦しい言い訳から始まるというなにこの。
 というわけでブラックの一話後編はイラストがまだ出来ないので先に関係ないイラストをさらさら。画が白いのはいつものことってわけでどうかご容赦ひとつ。
 銃はLAM標準装備のモーゼルミリタリー。M712じゃなくてM1896の方の。LAMはたぶんウィルコックス製。知らんけど。なげやりだなあ今回。銃の名前は、バレル側面の刻印にある通り「God Help Us All」。
 デッサンが狂ってるせいで銃がコンニャクみたいになってるけど筆だからいいヨネ。よくねえ。

ブラック 第一話中編

2009/08/05(Wed) 12:32 Category: 小説
ブラック 第一話中編
 平穏はいつも悲鳴によって破られる。
 燃え盛る炎。焼ける大地。母屋。人々。
 そして、泣き声。
 幼い少女の鳴き声が胸に焼きつくように響く。
 …いつも、こいつだ。
 わたしはそう思った。
 こいつはいつも、わたしの目の前に現れる。
 あるときは寂れた農村で、あるときは平原で、あるときは雪原で、あるときは夢のなかで、あるときは過去の記憶のなかで、あるときはフラッシュバックのなかで、この少女はいつも泣き声を上げながらわたしの目の前に佇む。そして周囲は、いつだって燃え盛っているのだ。
 わたしは殺し屋。村を焼いたのもわたし。村人を皆殺しにしたのもわたし。そしてたぶん、この少女の両親を殺したのもわたし。
 そして、この少女を殺すのもわたし。
 手にした刃物をゆっくりと構えながら、左手で少女の髪をぐっと掴んで持ち上げる。
 恐怖に顔を引きつらせる少女の瞳を凝視しながら、わたしは刃物を少女の首筋に刺し込んだ。
 わたしは…

 わたしは、いったいなにをやっているのだろう。
 気がつくと、天地が逆さまになっていた。ぼうっとした頭でしばらく考え、ようやくわたしは、蹴り飛ばされるという効果的で確実な(そして、少々乱暴な)手段でもって起こされたということに思い当たったのだった。
「おまえ、自分だけ楽をしようとか思ってるんじゃないよな?」
 目の前にはいかにも田舎の農村出身といった感じの、粗野で思慮の足りない顔をした(それでいて体格の良い)男が両手で腕組みをしている。
 眠くなると、状況を問わずに熟睡してしまうのはわたしの悪い癖だ。誰にも劣る、決定的で致命的な欠陥だった。
「他の連中はきちんと仕事をこなしてるっていうのに、まったくおまえときたら…いいか、すぐに仕度を整えて便所掃除だ。糞の一滴でも残ってたら、今度はおまえを便所代わりに使ってやるからそう思え」
 立場的には同じ身分であるのに、どうやったらこんなに横柄な態度を取れるのかわたしには皆目見当がつかなかったが、それでもわたしは文句一つ言わずに…というより一言一句、ため息一つつかずに立ち上がった。
 カイエル帝国軍、第一八懲罰部隊。それがわたしの所属している部隊の名前だ。
 命令違反を犯した帝国軍兵士、敵国の捕虜、本国で罪を犯した咎人。そういったろくでもない連中を集めて組織されるのが懲罰部隊である。
 そして第一八懲罰部隊の任務はアーヴァン大陸北東部の平野…カイエル帝国とクドリヤフ共和国の国境沿いにある前線基地の陣地構築だった。
 前線…とはいうものの、この平野は戦略上なんの価値もない場所だ。大地は荒れ、地形は複雑に入り組んでおり、さらにカイエル帝国側には平野を見下ろせるようにそびえ立った山岳地帯がある。
 クドリヤフ共和国にとってはもっとも侵攻しにくい場所であり、また人の住まない土地が長く続くことから、侵略される可能性がもっとも低い場所だ。
 もっとも、帝都から延々と伸びる山岳地帯を抜けるのに膨大な日数と労力を費やした第一八懲罰部隊は既に半数は移動中に脱落するか死亡するかし、この平野の荒れた土地は陣地構築にまるで適さない(つまり、大変に苦労する)場所だった。
 まあ、交戦地帯の地雷処理よりはましだろう。
 わたしはそう思いながら、妙にのんびりとした頭で野外便所が設置されている場所へと向かった。
 道中、バリケードや物見台などを設置する隊員の姿が見える。だがそれらの動きはどれも緩慢で、その態度は不当に与えられた労働(という認識なのだろう、彼らにとっては)に対する不満を微塵も隠そうとしていない。
「おい、なんだってこんな辺鄙な場所に基地をこさえなきゃならないんだ?これは単なる嫌がらせに違いないぜ、なあそう思うだろ?」
「偉い人間ってのは、いつだって俺たちみたいな連中にクソ仕事を回したがるもんなのさ。そうやって権力の価値ってやつを見せつけてるってわけだ」
「くそっ、もう一歩も動けねぇ。戦場で過労死なんて、冗談にもならないぜ」
 彼らのそれは会話ではなく、一方的な主張を垂れ流した、たんなる独り言に過ぎなかった。そうやって文句を言い合うことで、互いの結束を確かめ合おうとしているようにも見える。
 いいから黙って手を動かせ、などと言う者はこの場にはいなかった。
 働く者もいれば、働かない者もいる。煙草を吸い、ギターをかき鳴らす者がいる。ただし、仕事熱心な者だけはいなかった。この基地が完成するのは一〇〇年後になるだろう。
 わたしが簡易便所に来たとき、先客がすでに仕事をはじめていたことに軽く意外を覚えた。
 装備もなにもかも雑多な懲罰部隊において、その男はそこそこ、というか、かなり立派な身なりをしていた。紋章つきの鎧を着ており、元々はそれなりに階級の高い軍人であったことが窺える。
 ただし、悪態をつきながら仕事をしている点は他の者となんら変わるところはなかったが。
「ちくしょうめ、騎士である俺にこんな仕事をやらせるなんざ…いつか後悔させてやる」
 どうやら男はその格好に見合うだけの自尊心を持ち合わせているようだ。
 やがて男が顔を上げ、わたしと目が合った。
「…戦場に、それもこんな部隊に女とは珍しいな。悪いが、まだ便所は使えんぞ」
「手伝いに来たのよ」
「ハッ!結構なことだ。それじゃあ、この糞がたっぷり詰まった樽を焼却穴まで運んでもらおうか」
 その言葉にわたしは「はい」でも「いいえ」でもなく便所に近寄ると、裏手にある戸を開けて糞尿の詰まった樽を取り外して、焼却穴と呼ばれる深い縦穴まで運んでいった。
 はっきり言って樽自体が相当重量がある代物なので、わたしが顔色一つ変えず運び出したのに男は少なからず衝撃を受けたようだった。
 焼却穴に樽の中身をぶち撒け、木の葉や枯れ木をかけて火を放ったとき、男が別の満タンになった樽を持ってきて呟いた。
「俺はもともと由緒正しい名のある騎士の家の出だった。帝国に忠誠を近い、武功にも秀で、順調に地位を高めていっていた。だが、たった一度命令違反を犯しただけでこ...

ブラック 第一話前編

2009/07/27(Mon) 11:21 Category: 小説
ブラック 第一話前編
 なにか良くないことが起きようとしている…
 カイエル帝国の衛兵隊長ブリスは、就寝前の虫の知らせでなんとはなしにそう思った。もっとも同刻、帝都を、さらには帝国城内をも駆け巡る一つの影が、風のように通り過ぎていったことなど知る由もなかったのだが。
 この国、いや、この大陸では闇夜を照らす光はない。
 技術がないわけではない…そもそも真夜中に出歩く習慣がないのだ。
 帝都では後退で昼夜を問わず衛兵が巡回している。しかしその数は限られており、少しでも人目につかぬ術に精通している者ならば、闇に紛れることは容易である。
 ゆえに、なにかしらの事情で家に帰るのが遅れたのろまを、つい深酒してしまっただらしない酔っ払いを、そして重い荷物を抱えたままどうにかして帝都に辿り着いた旅人を、鈍い光を放つナイフを舌で舐めながら待ち受ける者は後を絶たない。
 強盗、辻斬り、物乞いだって善良な者ばかりではない。夜中まで戸を開けている酔狂な店など帝都には存在しない。
 というわけで…いわゆる善良な市民というやつは、夜中に外に出たりなどしない。衛兵すら、自らの任務に毎日情熱を傾けるわけではない。
 夜中に事件が起きても、発見されるのは明朝ということも少なくはない。
 しかし、だからとて衛兵を責める者はいない。道中での揉め事を取り押さえることはできても、暗闇を見通す心眼まで持ち合わせているわけではないのだから。
 そして今夜は、そういう夜だった。

 最初に「それ」を発見したのは市民だった。
 帝都南西のアーヴァン地区の中心には、かつての英霊を祀る塔が建てられている。
 人だかりができてから衛兵が到着するまで三十分。通報内容は「塔から血が流れている」というものだった。
 雲をも突き破らんとそびえる塔(あくまでイメージの話だ。本当に雲より高い塔を建てることなどできるはずもない…それに城より高い塔を建てるなど、誰よりも自尊心の強い帝王が許すはずがない)のはるか高い位置から幾筋もの血がしたたっている。
 あまりの高度に、さらには陽光に阻まれ、はじめは衛兵ですらも、いったい「なに」が血を流しているのか、皆目判別がつかなかった。
 やがて望遠鏡を持った衛兵の一人が、「英雄の血に違いない」「英霊の再来だ」などと根拠のない虚言を繰り返す市民の姿を尻目にようやくその原因を目にした。
 望遠鏡のレンズ越しに「それ」を目撃した…してしまった…衛兵はすぐさま望遠鏡から目を離すとその場にうずくまり、嘔吐した。
 その尋常ではない様子に興味を抱いた衛兵や市民が、次々と望遠鏡を奪い合うように引っ掴み、塔の遥か上空を覗き見た。
「なんという罪深きことを…」
 たまたまその場に居合わせた神父が「それ」を目撃したとき、思わずそう呟いた。
 もはや死んだ英雄の聖痕だのと言う者はいなくなった。
 周囲は途端にざわめきだし、歓談が悲鳴やわめき声に取って変わっていた。そのためしばし茫然自失として我を見失っていた衛兵たちは、慌てて用無き者は自宅に戻るよう言わなければならなかった。
 いったい、塔の上方になにがあったのか…
 有り体に言ってしまえば、それは何者かの首だった。
 首の断面から大量に流れる赤々とした血は、それが昨夜のうちに切り取られた新鮮なものであることを意味している。なにしろまだ血が完全に固まっていないのだ。
 さらにその首は、三本のナイフによって塔に射止められていた。両目に一本づつ、もう一本は大きく開かれた口の喉奥をえぐるように刺し込まれている。これがいったい、悪魔の所業でなくてなんとするのか。
 しかし混乱する群衆はまだ気がついていないものの、衛兵たちは当然抱くべき疑問に頭を悩ませざるを得なかった。
 とどのつまり…あの首は、いったい誰のものなんだ?
 しかし確認しようにも、もう一度あの死相を、それもじっくりと観察できる者などいなかった。もっとも午後までには、攻城戦用の巨大梯子を使ってあの首を撤去しなければならないのだが。
 ちょうどそこへ、一人の兵士が城から走ってきた。獄舎の管理をしている男だ。
「た、大変だ!く、首が…囚人の首が!」
 その言葉を聞いた衛兵隊長ブリスは、他の者をその場に残して一目散に獄舎へと向かった。
 どうやら首の持ち主が善良な市民ではなかったらしいことは、唯一の慰めになったが…しかし、だからといってああも公然と殺して良いことにはならない。まして帝都の獄舎にいながら身の安全が確保できなかったなど、周辺国に知られようものなら大変なことになる。
 獄舎に辿り着いたブリスは見張りから鍵束を受け取ると、独房へと続く扉を開けて中へ入っていった。
「一体なにがあったんだ!誰か答えられる者はおらんのか」
 目的の独房(どうやらフロアの最奥にあるらしい)へ向かうあいだ、ブリスは他の囚人がなにかを目撃していないか訊ねて回った。しかし囚人たちは皆一様に怯えるばかりで、まるで話にならない。
「あ、悪魔だ…あれは悪魔だ…」
「俺たちみんな殺される!ちくしょう、誰かここから出してくれ!死にたくない!」
「生きてた…あいつ、『切られてもまだ』生きてた…!」
 いったい、なんだというんだ…?
 多少のことなら一寸たりとも動じないような凶悪犯ばかりが収監されているはずのこの独房フロアで、冷静でいられる者は一人もいないようだった。そのことは、ブリスをも少なからず動揺させていた。
 囚人たちの悲痛な呻き声に送られながら、さほど時間もかからずにブリスは目的の独房の前まできた。
 囚人番号一○二七、スハニ・アラド。一家四人虐殺のかどで禁固三〇年の刑に処す…独房の札には、そう書かれていた。
 死んで当然のやつ。
 一瞬だけ脳裏に浮かんだその言葉をブリスは慌てて打ち消すと、独房の鍵を開けて(驚いたことに、鍵はかかったままだった)中へと入っていった。暗闇に目をこらす。
 独房フロアも最奥までになると蝋燭の日の光が届かない。地下の獄舎には外界の光を通す窓の類いも一切ない。
 一歩独房へ足を踏み入れた途端、「び...

夏です。暑いです。

2009/07/16(Thu) 11:33 Category: イラスト
夏です。暑いです。
 なんかもう、ゴチャゴチャ言うのやめにしました。更新するたびにそれやってたらキリがねぇ。更新頻度に関しては、なんかもうスイマセンゴメンナサイな感じで。

 最近なんか(なぜか)筆を使って絵を描いてます。意外とトーンと相性がいいんじゃないかと思いつつ、自分のトーン貼りスキルの低さに愕然とする。オブリビオンで言うと18くらい。低ッ!
 身近にトーン貼り上手い人とかいないかなあ。そうだセブンさんに頼も(ry(パァン(銃声。たぶんオフィサーズACPの

 最近「シューテムアップ」のDVDを購入。いや面白いですよコレ。理屈で映画を観る人にはまったくもってオススメできませんが。
 個人的にはロフトでの銃撃戦が好き。ていうかその場で回転しながらマイクロUZI(?)を乱射するシーンをなぜカットしたし(ダイブしながらじゃない方の)。あと一糸乱れぬスーツ姿でクソ真面目なツラして両手保持でマグナム撃ってくるスカイダイブ中のシークレットサービスとかクソカッコイイ。そしてネズミ萌え。ちぎれた手の傍らで顔洗ってるやつが可愛すぎて生きるのが辛い。

 それにしてもヒラコーの「以下略」がどこいも置いてないのは何かの陰謀ですか。そしてコンビニにチョコ味のアイスがないのは何かの陰謀ですか。季節限定とかハミガキ粉味とかどうでもいいし。バニラ以外に選択肢ないし。どうしてくれる。

(久しぶりなので文章が荒れまくってますが無害です。いつも通り?㌧)

際限なくお久しぶり

2009/05/13(Wed) 04:11
際限なくお久しぶり
 さて、俺の名前はなんだったかな?…ああ、そう、グレアムだ。最早他人に名前を呼んで貰わなければ自分自身の存在も確認できないような、そんな希薄なものになりつつある。電子の海に漂う自分の精神が、まるで海中に捨てられた洗剤のように、ただ表面だけをぷかぷか浮きつつある。
 最近、絵も文章も手につかない。以前は確固として存在していた自分の世界が、現実世界に対する認識に押し潰されつつある。おい、あいつはどこへ行った?彼女はどこへ?あの空気はどこに行けば吸えるんだい?…オーケー、ちょっと落ち着こう。
 そう、ちょっと思い出したよ。以前彼女に言われたことだ…「お前が求めさえすれば、いつでもオレはお前の傍にいる」と。「オレたちはお前に描かれなきゃ、この世に存在することができないんだぜ。それともお前は、オレたちをただお前の頭の中の妄想の産物として終わらせるつもりじゃないだろうな?」とも。そう、俺はどんなに辛くとも死ぬことを許されていない。いつか自分が自分自身にかけた呪いだ。
 もし創作なんてものを知らなかったら、俺はどんな人生を歩んでいたんだろうか。

 はいはいドン引きドン引き。
 いきなりキモいポエムで始まってゴメンねゴメンね。いまちょっと生きてるのが辛い。まあ、もう暫くもすれば落ち着くと思いますが。

 そういえば4月末にパニッシャーの映画を劇場で観ましたと今更ながらの報告。トム・ジェーン版や、ましてやドルフ・ラングレン版とかじゃありませんよ。結局2回観ました。あと1回くらいは観たかったなあ。
 マーヴル映画にしては珍しく最初からアクセル全開な展開が俺によし。敵も味方もイカレた連中ばかりで素敵過ぎる映画でした。パニッシャーも容赦なさ過ぎで楽し過ぎる。
 総評…間違っても一般的に評価されるような作品ではないし、また評価されるべき作品でもないが、アクション映画ファン(それも一部のインモラルな連中)としてはこういう映画が実際に制作され、そして国内の劇場で観れるというだけでも幸福に思うべきだ。
 早くDVD出ないかなあ。サントラは買いました。

 イラストはHEL-00アルファ、アンドロイド・リアの初期型です。機体制御のために強化外骨格を装着しています。作中でチラッと触れた「過去に裏切りに遭い、敵地のど真ん中から単独で脱出した」ときのイメージ。

勇者銃

2009/04/17(Fri) 11:22 Category: イラスト
勇者銃
 どうも、お久しぶりの更新でゴザイマス。
 イラストのは勇者屋でクレイドが使うハンドガン、その名も「勇者銃」。イメージ的にはグロックとかワルサーP99とか、ステアーM1あたりのポリマーフレーム銃をごっちゃにしたような感じです。50AE弾のケース長を切り詰めたオリジナルの弾丸を使用します。ダブルアクション…なんですが、イラストだとトリガーの位置が後ろ過ぎますね。これじゃSAオンリーだ。
 構図とか縮尺とかいろいろツッコミどころありまくりですが、そこんところは勘弁してください。

 例のマフィア小説に関してですが、もうちょっと待ってください。そもそも既に用意してあるネタで記事数を稼ごうなんて魂胆もないではなかったですが、そもそも更新できる機会自体が少ないことに気づいて憤死しそうです。
 春休みも桜の季節も終わり、地域祭も今週の土日で終わるんでようやく余裕ができるかしらと思いきや月末からゴールデンウィークですか…8日間も…一日でも休めるかな…
 とりあえず明日残業がなければバイト終わった後に横浜まで行ってパニッシャーの新作が観たいお。

ひさしぶりにイラスト

2009/03/30(Mon) 13:22 Category: イラスト
ひさしぶりにイラスト
 なんかまたひさしぶりの更新になってしまった。イラストは勇者屋本舗のイリア。銃はM14(民間用のM1?)で、マガジンを抜かずにクリップで装弾しているところです。これってなんかメリットあるんですか。

 そうそう勇者屋はやっぱり文章でやることにします。漫画だとあまり情報を詰め込めないってのと、あとはネームを見返してみたら出来が酷すぎることに気がついた。死のう。

 あとネタがないってわけじゃないですが、昨年某所に投稿した作品を次回から掲載したいと思います。なんかもう、世に出る機会もないんじゃないかと思ったので。
 「KIA Killing In Action」とゆータイトルで、1970年代後半のマフィア同士の抗争がテーマの作品です。ラノベのラの字もねぇ。女も2人しか出てこないし。イラストは…なんかテキトーに描いたラフを載せたり載せなかったりするかもしれません。

参った

2009/03/09(Mon) 06:12 Category: イラスト
参った
 勇者屋の漫画が遅々として進まない。
 先にBlut von Vの続きでも書いてしまおうか…どうも私には「絵⇒文⇒絵⇒文⇒…」というサイクルがあるようだが、今は文が向いているのかもしれない。でも勇者屋の方はもうネーム描いちゃったから、そっちは漫画でやりたいんだよねぇ。

 画像は魔導ライフル。イメージとしてはパンツァードラグーン的な感じで。

ポスター描いた

2009/03/06(Fri) 01:45 Category: イラスト
ポスター描いた
 勤務先用の。描けって言われたんで。別に金が貰えるわけじゃないし給料(自給)が増えるわけでもないのでシカトこいても良かったんですが、なにかとうるさいんで「もう、いいや。やったるわい」ってな感じで。
 一応店名は伏せてありますが、メニューと値段見ればわかる人はわかるかもなあ。一ヶ月くらい前に某バラエティ番組(たしか全国放送)でチラッと紹介されたし。
 それにしてもアレだね、PCで彩色するようになるとアナログでも色の塗り方が変わるってのは本当だね。ていうか久しぶりにアナログで色なんか塗っちまったわけですが。
 以前ならひたすらグラデつけてごまかしてたような部分もカッチリ塗るようになって、なんというかアニメ塗りっぽいハッキリした色分けに抵抗を感じなくなりました。

 明日コレを店に持って行きます。どんな反応があるやら。かなり投げやりな感じです。
勇者屋未来編 プロローグ(3/3)
──そして新たな戦い
 かつてクレイドが袂を別った考古学研究グループが旧世紀のテクノロジーを次々に解明し始めてから、世界の様相は一変した。クレイドは自身が発見した古代の科学技術を意図的に公表していなかったのに対し、考古学研究グループは自らの発見した技術が世界にどのような変革と混乱をもたらすかを考慮に入れず片っ端から公表・実用化したのである。
 また、考古学研究グループが発見した技術を国が管理するのではなく、企業が買い取ったことも混乱に拍車をかけた。革新的な技術を手に入れた数々の大企業は、無限に湧き出る石油の源泉を採掘したかのように莫大な資産を手に入れた。しかし一方での儲け至上主義によるモラルの低下が、強力にして凶悪な近代兵器の拡散や企業間での戦争、世界的な治安の悪化を招く結果となった。
 もはや、銃火器の使用はクレイドの専売特許ではなくなったのである。
 手段を選ばぬやり口に対し良識ある民間団体から非難されながらも、強大な力を手にした大企業は次第に国に代わって人々を支配するようになる。膨大な資金と軍事力によって一国家と同様の権利を得ることに成功した各企業はさらなる躍進を求めて手段の合法・非合法を問わずライバル企業との競争を加速させた。
 わずか十年そこそこで、世界は「剣と馬と伝書鳩」から「銃と車とワイアレス・ネットワーク」の時代へと変貌を遂げた(このことは、のちに「大変革」と呼ばれることになる)。
 そして「勇者屋」は…いまも変わらず存在しているのであった。
勇者屋未来編 プロローグ(2/3)
──仲間との出会い
 人間の持つ武器がまだ剣や弓などの原始的な域を出ない時代に、銃火器を自分専用の力として利用することに決めたクレイドは気まぐれから「勇者屋」という何でも屋の事務所を構える。
 幾つかの依頼をこなしたのち、「魔王に誘拐された姫を救出せよ」という重大な仕事を国王直々に依頼されたクレイドは、魔王が潜んでいると噂される地下迷宮へと向かった。
 GHC…「ゴッド・ハンド・カンパニー」という殺し屋組織のエースであり、魔王に雇われて迷宮に挑む者達を始末していたデイビスに出会ったクレイドは、魔王が支払った額より高い報酬を提示することで彼を買収する。さらに用心棒として雇われていたエルフの娘イリアを説得して仲間にしたクレイドは、ついに魔王のもとへたどりつく。
 だが魔王はかつて遺跡だった地下迷宮から発掘された技術によって全身に高度なサイバネティック手術を施しており、その圧倒的な力に三人は苦戦する。あわや全滅というところで、クレイドが山一つ消し飛ばすほどの威力を持つ、魔法技術と科学を融合させた必殺の銃弾「Dマグナム」を使用し魔王を葬った。
 あまりに威力が高い一撃の余波を受けて地下迷宮が崩落し、三人は生き埋めになるかと思われたが、魔王が自室の天井を補強していたため、どうにか助かる。
 しかし喜ぶのも束の間、魔王が死力を振り絞って地下迷宮に封印されていた古代兵器…弾道ミサイルの発射ボタンを押してしまう。王城に照準がロックされた弾道ミサイルが発射され、クレイドはDマグナムを使用して撃墜しようとするが失敗。二発しか所持していなかったDマグナムを使い果たしたクレイドは、救出された姫が悲鳴を上げるなかで王城が爆発するのを笑って見ているしかなかった。
 結局、弾道ミサイルによって国が崩壊したことでクレイドは報酬を貰えぬまま(さらに、救出した姫の恨みを買うという最悪な結果を残し)事務所に帰る。しかしデイビス、イリアという二人の仲間を得たクレイドは若干気落ちしながらも三人で勇者業を続けることを決めるのだった。
勇者屋未来編 プロローグ(1/3)
──クレイド・マクドゥーガルの言葉
 正統派ヒーローはもう売り物にならないのか?答えはイエスだ。
 正義という言葉が形骸化し、口に出すことすら躊躇われるほどチープで陳腐になってしまった現代。皆が皆ワルに憧れ、ちょっとでも優しさを見せようものなら「偽善者」と罵られる、そんな世界。
 だが、とあえて俺は言う。正義っていいもんだぜ?



──核戦争後の世界
 第三次世界大戦後、原因不明の核戦争によって地上は一掃された。
 汚染された大地には突然変異によって産み出された魔物が跳梁跋扈し、文明を失った人類は危地に立たされた。そしてエルフやオークなどといった人類の亜種「メタヒューマン」との対立が人間の生活をさらに脅かすことになる。
 しかし、人間の希望が失われたわけではなかった。魔物やメタヒューマンの出現と時期を同じくして、人間の一部にも人智を越えた力を持つ異能者…「魔法使い」が現れはじめたのである。また、能力を持たない者の中にも剣などの原始的な武器をもって魔物に対抗する「戦士」が序々にその数を増していった。
 かくして剣と魔法、人類対魔物という絵本の中の夢物語…トールキンが描く「ファンタジー」の世界が現実のものとなったのである。



──考古学者の憂鬱
 アルフレッド・マクドゥーガル教授は考古学の権威であり、その実績の数々はまさに歴史に名を残すほどの偉業と言っても過言ではない。しかし教授はたびたび学者グループの輪を抜けて研究を独断専行することから、他の考古学者から存在を疎んじられていた。
 そして教授は古代遺跡の発掘調査中、学者グループに所属する一人の研究者の手によって、事故に偽装した巧妙な罠で命を落としてしまう。
 誰も教授の死を事故死だと疑わない中で、ただ一人だけ殺人だと見抜いた者がいた。教授の息子、クレイド・マクドゥーガルである。
 クレイドは幼少期から父に連れられて遺跡発掘作業に携わっており、父を取り巻く周囲の状況についても父以上によく理解していた。
 当時まだ子供だったクレイドは自分に法廷での証言能力がないことを知っており、彼は犯人を告発する代わりに、父の死と同様の事故に見せかけて犯人を始末した。
 その後、核戦争以前の文明を研究していたクレイドは遺物として発掘された古代武器「銃火器」に多大な関心を示し、十年近くかけてそのメカニズムの一部を解明すると、それまでに発掘された膨大な資料とともに何処かへと行方をくらませてしまった。
死に体での更新でゴザイマス。
 どーも、すっかりご無沙汰してしまってもう存在そのものを忘れ去られてしまったんではないかというグレアムです。あ、この名前使うのも久しぶり…なんか本来の自分に戻れたような感覚。
 ほとんど二ヶ月ぶりですか。フツーの二ヶ月なら良かったんですけどね。クリスマスや正月など、絵描き同士がワイワイ盛り上がれるイベントを全部すっ飛ばしちまったもんですからモチベーション下がりまくりですよ。俺もみんなと一緒に騒ぎたかったよ…ずっとバイトしてたんだもんよ。
 ていうか週5、6日ってバイトの範疇じゃないだろjk。贅沢言わなけりゃ一人暮らしできるくらいの収入があるって、なんで駄目人間の見本みたいな俺がそんな真人間みたいに勤労しなきゃならんのだ(もっとも収入の半分は家に入れてるから一人暮らしなんぞできやせんけど)。

 そんな感じで、自己をいたわる余裕もなく創作に励む余裕もなくgdgdな毎日を過ごしておりました。無職生活が懐かしい…思う存分物書きとして活動できたあの頃が。
 うわあああぁぁぁぁぁ嫌だあぁぁぁぁあぁ!!!!!
 別に創作をやめたとか、そういうんじゃねぇから!ああもう。ぼちぼち描いてはいるんですが、絵も文章もどーもスランプ気味で良い物が描けないでござる。

 なんというか、ザに関しても今後はもっと頻繁に更新したいんですが、なにせ今までミディアン(夜族)だった私が普通の人間と同じ生活サイクルにハマッたということで、ネットに繋いでる家族共用のPCに触れることができなくなったという…
 ええ、いままでは家族がPCを使わない昼間や深夜に更新していたもので。
 昼間…バイト。
 深夜…寝ないと死ぬ。
 と、ゆーわけで…なんとか週1、2日ある休日に更新せんといかんなあ、とか、そういう。

 ちなみにイラストは勇者屋(未来編)。シャドウラン的な世界観をベースにしたサイバーパンク物になる予定です。現在執筆中。実は漫画にするか文章にしようか悩んでいる。

サークル向け漫画4

2008/12/17(Wed) 23:45 Category: 漫画
サークル向け漫画4
 どうも縮小されるサイズは500四方らしく、さすがに元サイズをそっち準拠にしちゃうと字とか読めなくなってしまうので(いかんせん下手なだけに)、結局いままで通り元は最大700(or600)で、お好みで画像をクリックして拡大画像を表示してくださいな…ということにします。まあ、こっちがあれこれ邪推する必要がないほど普段は綺麗に縮小されていますし。管理人さんGJです。

 ただまあ携帯からだと字が読めないのは確かなので、一応ここでも書いておきます。
「ジリオンかー懐かしいな~」
「…ジリオンやってたのってゴマちゃんが一歳くらいのときじゃなかったっけ?」
「再放送とかじゃないんですか?(CSのアニメ専門チャンネルとか…)」
「マーク3版スケバン刑事2のCMとかやってたよね」
「リアルタイムかよ――…!!」
 …わかりづらいアニメ話でした。

 ちなみにヨロイ着てる女性は前回の動画のキャラです。
 この頃はまだ黒髪ロングストレートだったんですが、似たようなキャラが他に数人いたのでチョンマゲ(ポニーテール)に。武士道なカンジで。サムラーイサムラーイブシドーウ。

サークル向け漫画3

2008/12/16(Tue) 17:59 Category: 漫画
サークル向け漫画3
 旧ザ閉鎖&新サービスへの移行のドサクサでうやむやになってしまいましたが、身内向けの1ページ漫画の続き(内容は全然関係ない)。
 今回のは他の会員様のキャラを(勝手に)使って描いたものです。しかし、いくらなんでもこれはないだろうというか。こんなことばっかりやっていると、そのうち後ろから斬られるんじゃないだろうか。

 今日、明日、明後日とようやくまとまった休みが取れます。この8日間で7日間、開店から閉店まで働いてました。いきなり私を殺す気満々です、本当にありがとうございました。
 業務内容も他の人とまったく変わりませんし(最初のうちは簡単な仕事から、なんて生易しい配慮はゼロ)、なにせ「正月に混雑する土地」に店があるもんですから、今年の除夜の鐘はどうやら店で聞くことになりそうです。
 昨日はソーセージを作りました。入って一週間ちょっとで販売用のソーセージ作りですよ。どんだけ切羽詰まっているのかと。それも楽しいもんじゃ全然なく、冷凍肉に氷水をぶっかけてこね回すという鬼のような作業が。手の感覚が無くなりました。はっきり言って物描きのやる仕事じゃないです。
 おまけに店の親父は始終グダグダと文句垂れる始末で(こちらに不備がないときも、である)まったく手に負えない。まあなんていうか、飲食店で働いてると(焼きたてソーセージの店頭販売、店内での飲食もやっている)、週休二日制なんて考えたやつはホント死んでいいと心底思います。

 まあせっかくの休みだから、思う存分創作に励むぞっと。
次のページ << >> 前のページ